かど 康彦 − 旅立ちの唄
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市民と歩む未知の領域   私言独見 −産経新聞 平成17年5月24日朝刊

 夜明け前の暗闇が一瞬、より深くなる時があります。それが自然の生業なのか、見て感じる人間の心がそうさせるのか定かではありません。いずれにしても宇宙という空間と時間の不可思議な作用であるのは確かです。
 淡路市は、それほど大げさなことではないにしても、多くの課題を背負って船出しました。街角で私の手を握りながら、「よい市を作ってください」と語りかけてきた高齢の方、ずいぶん不便な場所で出会った青年は、帰郷し淡路島で農業の再生を信じて私に熱く語ってくれました。また、アルバイトの少年が私の演説を聞き、あえてこの地で、市民型の選挙を目指す私にエールを送ってくれました。そして、私に反論の機会を与えない一方的な会話もありました。そうしたことの繰り返しが、県を退職してからの四ヶ月と一週間でした。
 今、旧津名町生穂の埋め立て地にある淡路市庁舎で、当選の翌日から執務に就き、休みなしの毎日ですが、ふと振り返ってみる広大な埋め立て地と海に、新生・淡路市の大きな可能性を感じています。
 五つのそれぞれの特性を持った地域を一つの行政体として運営するには、三つの必要事項があります。一つは信頼関係の構築です。そのためには情報を共有し相互連携するシステムは欠かせません。二つには、市民が生活圏と行政圏を区別して考えることが必要です。三つには、夢です。「明石海峡大橋の無料化」は、近未来への挑戦であり、島民の意識への警鐘でもありました。もちろん、そのために生じる「負の部分」への対応も同時に考えていかなければなりません。
 「誰にも見せない涙」という言葉があります。自分だけのことを考える人には、その涙は流れません。相手との痛みを共有しながら淡路市を考え、市民であると同時に市職員として行政サービスに努める思考と行動を今後とも維持し続けることがその「負の部分」に対処するときに必要です。最近の行政にはそうした「心の交流」が希薄になっているような気がします。
 当分の間、良いか悪いかは別として、東京一極集中は続きます。それに対峙する形で地方は存在しています。東京に象徴される活性化と繁栄は、結果として田舎、地方の犠牲の上に立っています。それはまさに「持ちつ持たれつの世界」なのです。互いが協調しなければ、栄えた文明が消えた歴史の轍を私たちは踏むことになるでしょう。
 私たちの新しい市は、すばらしい独自の特性を持っています。明石海峡大橋、夢舞台、震災記念公園、伊弉諾神宮、そして市庁舎の埋め立て地、これだけではありません。歴史と文化に彩られた地域社会の生活文化があります。それらと、行政サービスを連携させて、未知の領域へ市民とともに一歩を踏み出します。